高校に入ると数Ⅰの因数分解の分野で、「たすきがけ」を習いますが、この「たすきがけ」をマスターできるかどうかが非常に大切です。

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しかし、多くの子は、この「たすきがけ」でつまづいてしまいます。私も、このたすきがけを使いこなせるまで苦労したのを、今でもよく覚えています。

そして、私の教えている生徒さんも、「たすきがけが嫌い!」とか「たすきがけのやり方がわからない」と聞いてくる子が多いので、今回は「たすきがけのやり方やコツ」を、問題を使って解説していきます。


例1 たすきがけを使って、x+4x+3を因数分解してみよう。

この問題は、はっきり言って、中学レベルなので、「こんなのたすきがけを使わなくても、(x+1)(x+3)に決まってるじゃん」と思われるかもしれませんが、何事も基本が大切なんで、あえて中学レベルの問題をたすきがけで解いてみましょう。

それでは、ここからは、見ているだけでなく、実際に自分の手を動かして、やってみてください。たすきがけのコツは、何と言っても、手を動かして慣れることです。


①下のような図を書く。
たすきがけ

まず、左図のように書いてみてください。これが、たすきがけをするための最初の作業です。そして、 最終的に右図のように、9か所の?の部分に適切な値を入れることができたら、たすきがけの完成という流れになります。では、次の作業に行きましょう。


②x+4x+3の数字を図の下の位置に書く。
たすきがけと因数分解

左から、「1 3 4」と書いていますが、はxの係数(xの前についている数字のこと)で、は定数項(xがついていない数字のこと)、はxの係数を書きます。

係数や定数項など難しい言葉を使いましたが、要するにx+を因数分解するときは、一番左に〇の値を、真ん中には口の値を、一番右には、△の値を入れればよいということです。


③一番左の1の上に、かけて1になる2組の数を書く。
たすきがけのやり方

次に、左の1の上の空欄に、かけて1になる2組の数を書きます。かけて1になるような2組の数は、×=1なので、「」です。よって、1の上の空欄に「」を書きます。


④真ん中の3の上に、かけて3になる2組の数を書く。
たすきがけとやり方

次に、真ん中の3の上の空欄に、かけて3になる2組の数を書きます。かけて3になるような2組の数は、×=3なので、「」です。よって、3の上の空欄に「」を書きます。


⑤一番右の4の上に、③と④で書いた数字を斜めにかけた数を書き、足した数が4になっていればOK。
たすきがけのやり方

次に、③と④で書いた数字をそれぞれ斜めに書けます。斜めに書けると図のように、「1×3」と「×」なので、その答えである「と3」を一番右の4の上の空欄に書きます。

この「と3」を足すと、下の4にぴったり合うので、最後に⑥の作業をして終わりです。もしここで、4にならない場合は、③と④に戻って数字の組み合わせを変えてやり直します。


⑥一番左の上の2組の数字の横にxをつけて、点線部分のように分けたら完成!
たすきがけと因数分解

最後に上図のように、一番左の上の2組の数字の横にをつけて完成です。左上の2組の数は、1と1なので、1の横にをつけて、後は点線部分のように、横に区切って +1 と +3 と見ます。1の1は普通は省略するので、答えは(x+1)(x+3)となります。


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例2 たすきがけを使って、x-5x-6を因数分解してみよう。

この問題も、中学レベルなので、答えは(x-6)(x+1)とわかると思います。しかし、④の作業で、たすきがけを使う際のポイントがあるので、この問題で解説していきます。

①x-5x-6の数字を図の下の位置に書く。
たすきがけのやり方

x+をたすきがけを使って、因数分解するときは、一番左に〇の値を、真ん中には口の値を、一番右には、△の値を入れればよいので、左から、「1 -6 -5」と書きます。例1と違って、今回は、-の数が入るので注意してください。


②一番左の1の上に、かけて1になる2組の数を書く。
たすきがけ、因数分解


左の1の上の空欄に、かけて1になる2組の数を書きます。かけて1になるような2組の数は、 ×=1なので、1の上の空欄に「」を書きます。ここは、先ほどの問題と同じですね。


③真ん中の-6の上に、かけて-6になる2組の数を書く。
たすきがけと因数分解のやり方
次に、真ん中の-6の上の空欄に、かけて-6になる2組の数を書きます。かけて-6になるような2組の数は、-1×6=-6や1×(-6)=-6などがあります。

とりあえず、「-1」を-6の上の空欄に書いてみましょう。


④一番右の-5の上に、③と④で書いた数字を斜めにかけた数を書き、たした数が-5になっていればOK。
たすきがけ、因数分解、やり方

次に、③と④で書いた数字をそれぞれ斜めに書けます。斜めに書けると図のように、「1×6」と「×(-1)」なので、その答えである「-1と6」を一番右の-5の上の空欄に書きます。

この「-1と6」を足すと、-1+6=5となり、下の-5に合いません。ということで、③に戻って、値を入れ変えてみましょう。


⑤もう一度、真ん中の-6の上に、かけて-6になる2組の数を考える。
たすきがけの失敗例

先ほどの④のところで、たすきがけの結果が合わなかったので、もう一度、真ん中の-6の上の空欄に、かけて-6になる2組の数を考え直してみます。

かけて-6になるような2組の数は、他に×(-6)=-6もあるので、今度は、「1と-6」を-6の上の空欄に書いてみましょう。


⑥もう一度、一番右の-5の上に、③と④で書いた数字を斜めにかけた数を書き、たした数が-5になっていればOK。
たすきがけの失敗例①

斜めに書けると図のように、「1×(-6)」と「×」なので、その答えである「と-6」を一番右の-5の上の空欄に書きます。

この「と-6」を足すと、-6=-5となり、下の-5に合いました。これで、完成です!


⑦一番左の上の2組の数字の横にxをつけて、点線部分のように分けたら完成!
たすきがけの失敗例②

最後に、一番左の上の2組の数字の横にをつけて完成です。上図より、答えは(x+1)(x-6)です。今回は、あえて④のところで、間違った組み合わせの数字を入れてみました。

たすきがけは、慣れていないと④のように、数字が合わないことがよくあります。しかし、たすきがけに慣れてくると、どの数字を入れたら良いかがわかってきます。

こればっかりは、たくさん練習してもらわないと、実感できませんので、たくさん練習問題をやってみてください。



例3 たすきがけを使って、2x+3x+1を因数分解してみよう。

たすきがけと因数分解

今までは、中学生レベルでしたが、ここからは、おまちかねの高校生レベルの問題です。たすきがけの流れは上の①~⑤のようになります。同じように手順を解説しましたので、実際に手を動かして理解してください。


①2x+3x+1の数字を図の下の位置に書く。
x+をたすきがけを使って、因数分解するときは、一番左に〇の値を、真ん中には口の値を、一番右には、△の値を入れればよいので、左から、「2 3 1」と書きます。


②一番左の2の上に、かけて2になる2組の数を書く。
左の2の上の空欄に、かけて2になる2組の数を書きます。かけて2になるような2組の数は、 ×=2なので、「」を上の空欄を書きます。今回で3回目なので、そろそろ慣れてきましたか?


③真ん中の1の上に、かけて1になる2組の数を書く。
次に、真ん中の1の上の空欄に、かけて1になる2組の数を書きます。かけて1になるような2組の数は、×=1や-1×(-1)=1などがあります。とりあえず、「」を1の上の空欄に書いてみましょう。


④一番右の3の上に、③と④で書いた数字を斜めにかけた数を書き、たした数が3になっていればOK。
斜めに書けると図のように、「2×1」と「×」なので、その答えである「2と」を一番右の3の上の空欄に書きます。この「2と」を足すと、2+=3となり、下の3に合ったので、完成です!


⑤一番左の上の2組の数字の横にxをつけて、点線部分のように分けたら完成!
最後に、一番左の上の2組の数字の横にxをつけて完成です。上図より、答えは(2x+1)(x+1)です。


今回は高校生レベルの問題でしたが、難しかったでしょうか?この問題は、たすきがけを使う問題の中では一番基本的な問題なので、しっかりできるようにしていただけたらと思います。



例4 たすきがけを使って、2x-7x-15を因数分解してみよう。

たすきがけのやり方


今度は少し難しいたすきがけの問題を解説していきます。難しいといってもやり方は同じなので、①~⑤のようになります。引き続き、手を動かして慣れていってください。


①2x-7x-15の数字を図の下の位置に書く。

x+をたすきがけを使って、因数分解するときは、一番左に〇の値を、真ん中には口の値を、一番右には、△の値を入れればよいので、左から、「2 -7 -15」と書きます。もうここは大丈夫ですよね?


②一番左の2の上に、かけて2になる2組の数を書く。

左の2の上の空欄に、かけて2になる2組の数を書きます。かけて2になるような2組の数は、 ×=2なので、「」を上の空欄を書きます。


③真ん中の-15の上に、かけて-15になる2組の数を書く。

次に、真ん中の-15の上の空欄に、かけて-15になる2組の数を書きます。かけて-15になるような2組の数は、×(-5)=-15や-5×3=-15、-15×1=-15、-1×15=-15などがあります。とりあえず、「-5」を-15の上の空欄に、順番に書いてみましょう。


④一番右の-7の上に、③と④で書いた数字を斜めにかけた数を書き、たした数が-7になっていればOK。

斜めに書けると図のように、「2×(-5)」と「×」なので、その答えである「-10と」を一番右の-7の上の空欄に書きます。この「-10と」を足すと、-10+=-7となり、下の-7に合ったので、完成です!

なお、③のところで、「-5と3」や「-15と1」を書いたりすると、当然、この④での計算が合いません。③で書くべき数字の組合せは「3と-5」が正しかったということです。


⑤一番左の上の2組の数字の横にxをつけて、点線部分のように分けたら完成!

最後に、一番左の上の2組の数字の横にxをつけて完成です。上図より、答えは(2x+3)(x-5)です。たすきがけの問題は、難しくなると、②と③での数字の組合せが複雑になります。

なので、慣れるまでは、こんなにスムーズに解けるとは限りませんが、たくさん問題を解けば、適切な組合せを選べるようになります。



例5 たすきがけを使って、x+(a+b)x+abを因数分解してみよう。
たすきがけの問題

今までは、表に入れた値が数字だけでしたが、今度は文字が入ったたすきがけの問題を解説していきます。ここからが、たすきがけの応用問題となってきます。


①x+(a+b)x+abの数字を図の下の位置に書く。

x+をたすきがけを使って、因数分解するときは、一番左に〇の値を、真ん中には口の値を、一番右には、△の値を入れればよいので、左から、「1 ab a+b」と書きます。文字aとbが入ってきましたね。


②一番左の1の上に、かけて1になる2組の数を書く。

左の1の上の空欄に、かけて1になる2組の数を書きます。かけて1になるような2組の数は、 ×=1なので、「」を上の空欄を書きます。


③真ん中のabの上に、かけてabになる2組の数を書く。

次に、真ん中のabの上の空欄に、かけてabになる2組の文字を書きます。かけてabになるような2組の文字は、×=abがあるので、「」をabの上の空欄に、入れましょう。


④一番右のa+bの上に、③と④で書いた数字を斜めにかけた数を書き、たした数がa+bになっていればOK。

斜めに書けると図のように、「1×b」と「×」なので、その答えである「bと」を一番右のa+bの上の空欄に書きます。この「bと」を足すと、b+=a+bとなり、下のa+bに合ったので、完成です!


⑤一番左の上の2組の数字の横にxをつけて、点線部分のように分けたら完成!

最後に、一番左の上の2組の数字の横にをつけて完成です。上図より、答えは(x+a)(x+b)です。たすきがけの問題は、応用問題になると、このように文字が入ってきます。



例6 たすきがけを使って、x+(3y+1)x+(y+4)(2y-3)を因数分解してみよう。
たすきがけのコツ

例5から文字が入ったたすきがけの問題を紹介しましたが、今回も同じような問題です。この問題は、例1~例5が基礎になるので、まず例1~5を解けるようになってからチャレンジしてください。


①x+(3y+1)x+(y+4)(2y-3)の数字を図の下の位置に書く。

x+をたすきがけを使って、因数分解するときは、一番左に〇の値を、真ん中には口の値を、一番右には、△の値を入れればよいので、左から、「1 (y+4)(2y-3) 3y+1」と書きます。

文字が入って難しそうですが、例1~例5と同じやり方をすれば絶対に解けますので、何度も言いますが、手をちゃんと動かして、頑張って理解してください。


②一番左の1の上に、かけて1になる2組の数を書く。

左の1の上の空欄に、かけて1になる2組の数を書きます。かけて1になるような2組の数は、 ×=1なので、「」を上の空欄を書きます。


③真ん中の(y+4)(2y-3)の上に、かけて(y+4)(2y-3)になる2組の数を書く。

次に、真ん中の(y+4)(2y-3)の上の空欄に、かけて(y+4)(2y-3)になる2組の文字を書きます。かけて(y+4)(2y-3)になるような2組の文字は、(y+4)×(2y-3)=(y+4)(2y-3)があるので、「y+42y-3」を(y+4)(2y-3)の上の空欄に書いてください。


④一番右の3y+1の上に、③と④で書いた数字を斜めにかけた数を書き、たした数が3y+1になっていればOK。

斜めに書けると図のように、「1×(2y-3)」と「×(y+4)」なので、その答えである「2y-3とy+4」を一番右の3y+1の上の空欄に書きます。この「2y-3とy+4」を足すと、2y-3+y+4=3y+1となり、下の3y+1に一致するので、これで完成です!


⑤一番左の上の2組の数字の横にxをつけて、点線部分のように分けたら完成!
たすきがけのやり方

最後に、一番左の上の2組の数字の横にをつけて完成です。上図より、答えは(x+y+4)(x+2y-3)です。この問題を解くことは、かなり難しいと思いますがどうでしたでしょうか?

難しいと感じるようでしたら、まず例1~5の問題を余裕に解けるようになってから、この問題を解いてみてください。



例7 たすきがけを使って、2x+(5y-1)x-(3y-2)(y-3)を因数分解してみよう。
たすきがけ

今回の問題は、例6よりも文字の組合せが複雑な問題です。この問題ができるようになれば、たすきがけの問題も残りわずかです。


①2x+(5y-1)x-(3y-2)(y-3)の数字を図の下の位置に書く。

x+をたすきがけを使って、因数分解するときは、一番左に〇の値を、真ん中には口の値を、一番右には、△の値を入れればよいです。

+(5y-1)x-(3y-2)(y-3)より、=2、=5y-1、=-(3y-2)(y-3)なので、空欄には左から、「2 -(3y-2)(y-3) 5y-1」と書きます。


②一番左の2の上に、かけて2になる2組の数を書く。

左の2の上の空欄に、かけて2になる2組の数を書きます。かけて2になるような2組の数は、 ×=2なので、「」を上の空欄を書きます。


③真ん中の-(3y-2)(y-3)の上に、かけて-(3y-2)(y-3)になる2組の数を書く。

次に、真ん中の-(3y-2)(y-3)の上の空欄に、かけて-(3y-2)(y-3)になる2組の文字を書きます。かけて-(3y-2)(y-3)になるような2組の文字は、-(3y-2)×(y-3)があります。

他にも、マイナスを逆にした-(y-3)×(3y-2)がありますが、とりあえず、上の空欄に
-(y-3)(3y-2)の順に書いてみます。


④一番右の5y-1の上に、②と③で書いた数字を斜めにかけた数を書き、たした数が5y-1になっていればOK。

斜めにかけると図のように、「2×(3y-2)」と「×-(y-3)」なので、その答えである「6y-4と-y+3」を一番右の5y-1の上の空欄に書きます。この「6y-4と-y+3」を足すと、6y-4+(-y+3)=5y-1となり、下に書いてある5y-1に一致するので、これで完成です!

なお、③の空欄で、上から順に「-(y-3)(3y-2)」と書きましたが、これを「(y-3)、-(3y-2)」や「-(3y-2)、(y-3)」など、マイナスをつける位置や、順番が違うと、5y-1にはなりません。


⑤一番左の上の2組の数字の横にxをつけて、点線部分のように分けたら完成!
たすきがけ因数分解

最後に、-(y-3)=-y+3(3y-2)=3y-2のように、カッコをはずして、一番左の上の2組の数字の横にをつけて完成です。上図より、答えは(2x-y+3)(x+3y-2)です。



例8 たすきがけを使って、2x+5xy-3y-x+11y-6を因数分解してみよう。

この問題は、今までの問題と違って、x+の形ではないので、まず自分で、x+の形に変形する必要があります。

① 2x+5xy-3y-x+11y-6

  ↓ x+にするため、xとxとxがついていない値の仲間を集める。

② 2x+5xy-x-3y+11y-6

  ↓ x+にするため、カッコでくくる。これを数学では「xの降べきの順にする」と言います。

③ 2x+(5y-1)x-(3y-11y+6

  ↓ 3y-11y+6は因数分解できるので、たすきがけで因数分解する。

④ 2x+(5y-1)x-(3y-2)(y-3)


②から③のところは、x+の〇と△と☐の値がわかりやすいように、カッコでくくっておきます。このとき、-3y+11y-6をカッコでくくる場合は、-3yがマイナスなので、カッコでくくると符号が変わることに注意してください。

なお、このタイプの問題はx+にすると、必ずが因数分解できるようになっています(この問題では、3y-11y+6のこと)ので、④のように因数分解をします。

すると、この問題は、上の例7と同じ問題になるので、後は例のように解いていけばOKです。


これで、たすきがけの問題も終了です。この問題ができれば、たすきがけの問題は、ほとんどの問題ができると思います。理解できましたでしょうか??

たすきがけの問題は高校1年生の最初の壁となる分野だと思いますが、「超重要分野」です。最後までしつこいですが、何度も手を動かして、たすきがけの作り方を理解してください。


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