酸化数の求め方を問題を使って解説していきます。まず、酸化数とは何でしょうか?教科書によると、酸化数とは、「原子が電子eをいくつ受け取った、または失ったかを表す数」と定義されています。

定義の書き方では、わかりにくいと思うので、例を出します。例えば、塩素原子Clは、電子eを1個受け取りやすい特徴があります。 それの反応式を書くと・・・

Cl + e → Cl  

Cl原子が電子eを1個受け取ってClになりました。このように、ある原子が電子をeを1個受け取った場合は、酸化数を-1と定義するのが酸化数なんです。

なので、Clは電子eを1個受け取ったので、酸化数は-1となります。

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もう1つ例を出します。マグネシウム原子Mgは、電子を2個失いやすい特徴があります。

Mg → Mg2+ + 2e

Mg原子が電子eを2個失ってMg2+になりました。このように、ある原子が電子をeを2個失った場合は、酸化数を+2と定義します。 なので、Mg2+は電子eを2個失ったので、酸化数は+2となります。

なお、ここで注意ですが、酸化数は+の値でも必ず+2と書いてください。「2」のように+を省略すると、間違いとなりアウトなのでご注意ください。

酸化数の求め方

さて、以上が酸化数の定義で、ここからが酸化数の求め方です。解説しといて何ですが、酸化数の定義より、今から解説する酸化数の求め方をしっかり理解してください。

なぜなら、酸化数の定義より、酸化数の問題の方が、テストやセンター試験で圧倒的によく出題されるからです。「Feの酸化数はいくつですか?」みたいな問題を計算できることが非常に大切です。

化学の計算では、molで挫折する人が多いと思いますが、酸化数の計算は、非常に簡単です。 どれぐらい簡単かというと、1+x=-3などの中1レベルの計算ができれば絶対に解けます。

モルの計算が全くわからなかった私でも、酸化数の計算はできるようになりましたので、モル嫌いの人は酸化数の計算だけでもできるようになってくださいね。

では、本題です。酸化数の求め方には、以下の4つのルールを覚える必要があります。問題を使って4つのルールを解説していきます。

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ルール① 単体中(原子が1種類のみの物質)の原子の酸化数は0 

・次の酸化数を求めよう。

(1) HのHの酸化数
(2) ClのClの酸化数
(3) FeのFeの酸化数
(4) OのOの酸化数

この問題はすべて単体です。ルール①により、単体なら原子の酸化数は全部0です。 よって、H、Cl、Fe、Oの酸化数は全部0です。計算というより、この問題は知識ですので、覚えれば簡単ですね。 単体なら原子の酸化数は全部0です。



ルール② 化合物中(原子が2種類以上の物質)の原子の酸化数は、1族なら+1、2族なら+2、酸素原子Oなら-2

・次の酸化数を求めよう。

(1) HOのHの酸化数
(2) NaClのNaの酸化数
(3) Ca(OH)のCaの酸化数
(4) CuOのOの酸化数

この問題は、すべて化合物中の原子の酸化数を求める問題です。化合物中の原子の酸化数は、原子により変化します。この問題も計算というより、知識で解けます。

なお、この問題は周期表の知識が必要なので、1族、2族の原子がわからない人は、周期表の覚え方!これを見れば、元素記号の暗記はバッチリだ!をまず見てください。

(1)HOは化合物なので、このルール②を覚えている必要があります。Hは1族の原子なので、Hの酸化数は+1になります。


(2)NaClも化合物で、Naは1族の原子ということで、NaClのNaの酸化数は+1となります。


(3)Caは2族の原子なので、Ca(OH)のCaの酸化数は+2です。


(4)化合物中の酸素Oの酸化数は-2というルールです。なので、CuOのOの酸化数は-2です。


※ なお、化合物中のOの酸化数は普通は-2ですが、例外として過酸化水素HのO原子の酸化数は-1となりますので注意してください。例外としてよく出題されます。



ルール③ 電気的に中性の化合物(イオンでない物質)は、酸化数の和は0

・次の酸化数を求めよう。

(1) HOの原子の酸化数の和   
(2) HNOの原子の酸化数の和    
(3) HNOのNの酸化数
(4) HSOのSの酸化数
(5) HPOのPの酸化数

(1)HOのような電気的に中性の化合物、つまりイオンでないような物質は、ルール③により、原子の酸化数を全部足すと、0になると定義されています。なので、HOの原子の酸化数の和は0となります。


(2)HNOも(1)とまったく同じです。HNOもイオンではないので、HNOの原子の酸化数の和は0となります。


(3)さて、ここまでの問題は、ほとんど知識でしたが、ここからが計算となります。といっても最初にも言いましたように、簡単な計算なのでご安心ください。

あなたは、1+x-6=0が解けますか?これがx=5と解ける人なら、この(3)の問題は解けたようなものです。

それでは、HNOのNの酸化数の求め方を解説します。Nの酸化数がわからないので、Nの酸化数をxとします。
ルール②より、Hの酸化数は+1、Oの酸化数は-2と決められています。

また、ルール③より、HとNとOの酸化数を全部足すと0なので、次のような計算になります。

   H  N  O 

Hの酸化数 + Nの酸化数 + Oの酸化数×3 = 0

  +1 +x -2×3 = 0   

⇒ 1+x-6=0

⇒ x-5=0

⇒ x=5

よって、Nの酸化数は+5となります。なお、注意点は、Oの数です。HNOのOは3個あるので、酸化数の和の計算では、-2× という計算になることにご注意ください。


(4)(3)と同じように、Sの酸化数がわからないので、Sの酸化数をxとします。ルール②より、Hの酸化数は+1、Oの酸化数は-2と決められています。

また、ルール③より、HとSとOの酸化数を全部足すと0なので、次のような計算になります。

   H   S  O 

Hの酸化数×2 + Sの酸化数 + Oの酸化数×4 = 0

  +1×2 +x -2×4 = 0   

⇒ 2+x-8=0

⇒ x-6=0

⇒ x=6

よって、Sの酸化数は+6となります。なお、注意点は、HとOの数です。HSOのHは2個、Oは4個あるので、酸化数の和の計算では、1×2と-2× という計算になることにご注意ください。


(5)Pの酸化数がわからないので、Pの酸化数をxとします。上と同じように計算していくと、。

   H   P  O 

Hの酸化数×3 + Pの酸化数 + Oの酸化数×4 = 0

  +1×3 +x -2×4 = 0   

⇒ 3+x-8=0

⇒ x-5=0

⇒ x=5

よって、Pの酸化数は+5となります。なお注意点は、やはりHとOの数です。HPOのHは3個、Oは4個あるので、酸化数の和の計算では、1×3と-2× という計算になることにご注意ください。



ルール④単原子イオン、多原子イオンの酸化数の和はイオンの価数

・次の酸化数を求めよう。

(1) HのHの酸化数
(2) Fe3+のFeの酸化数
(3) O2-のOの酸化数
(4) ClのClの酸化数


(1)~(4)の問題はすべて単原子イオン(1種類の元素からなるイオンのこと)に関する問題です。

(1)Hのような、単原子イオンは、ルール④により酸化数はイオンの価数になります。よって、Hのイオンの価数は+1なので、Hの酸化数は+1となります。


(2)(3)(4)Fe3+、O2-、Clも単原子イオンなので、ルール④により、酸化数はイオンの価数になります。よって、Fe3+のイオンの価数は+3なので、Feの酸化数は+3となります。

同様にO2-の酸化数は-2、Clの酸化数は-1です。ほとんど答えが書いてある問題ですね。


次は、多原子イオン(2種類以上の元素からなるイオンのこと)の酸化数の求め方です。

・次の酸化数を求めよう。

(1) SO2-の原子の酸化数の和
(2) NHの原子の酸化数の和
(3) SO2-のSの酸化数
(4) NiSOのNiの酸化数
(5) MnOのMnの酸化数は    


(1)SO2-のような、多原子イオンは、ルール④により酸化数の和はイオンの価数になります。よって、SO2-のイオンの価数は-2なので、SO2-の酸化数の和は-2となります。


(2)NHも多原子イオンなので、ルール④により酸化数の和はイオンの価数になります。よって、NHのイオンの価数は+1なので、NHの酸化数の和は+1となります。


(3)Sの酸化数がわからないので、Sの酸化数をxとします。
ルール②より、Oの酸化数は-2と決められています。また、ルール④より、多原子イオンの酸化数の和はイオンの価数なので、SO2-の酸化数の和は-2ですから、次のような計算になります。

   S  O  2-

Sの酸化数 +  Oの酸化数×4 = -2

  x -2×4 = -2   

⇒ x-8=-2

⇒ x=6

よって、Sの酸化数は+6となります。


(4)Niの酸化数がわからないので、Niの酸化数をxとします。ルール④より、多原子イオンの酸化数の和はイオンの価数なので、SOの酸化数の和は-2です。また、ルール③より、NiとSO酸化数を全部足すと0なので、次のような計算になります。

   Ni SO

Niの酸化数 + SOの酸化数の和 = 0

  x -2 = 0   

⇒ x=2

よって、Niの酸化数は+2となります。この問題のポイントは、上の(3)の問題でも解いたように、SOの酸化数の和は-2になることを知っていることが大切です。


(5)Mnの酸化数がわからないので、Mnの酸化数をxとします。ルール④より、多原子イオンの酸化数の和はイオンの価数なので、MnOの酸化数の和は-1です。また、ルール②より、Oの酸化数は-2なので、下のような計算となります。

   Mn  O  -

Mnの酸化数 + Oの酸化数×4 =-1

  x -2×4 = -1   

⇒ x-8= -1   

⇒ x=7

よって、Mnの酸化数は+7となります。    


どうでしたか?酸化数の求め方は、ルールが4つもあるので、最初は覚えるのが大変ですが、覚えてしまえば中1の計算問題になるので簡単ですね。

酸化数の求め方は、化学の計算の中で一番簡単だと思うので、計算が苦手な人は酸化数の計算だけでも頑張ってマスターしてください!

誤字脱字や「ここがわからない」などの質問等ありましたら、具体的な内容を添えて、コメント欄から三重の家庭教師に教えていただけたらと思います。

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