今回は、「定滑車や動滑車の問題」を解説していきます。滑車を使った計算問題は、中学受験の入試問題や、小学校、中学校理科の「運動とエネルギー」の物理分野、高校の物理基礎や物理で登場する重要な分野です。
しかし、この滑車の計算が「とにかく難しい!」んですよね・・・。滑車の問題は、定滑車と動滑車の違いや、力の原理などがわかっていないと全く解けません。
私が学生のころは、滑車の計算問題を見た途端に「もう無理!」と思って、ギブアップしていましたね。このサイトに来てくれているということは、あなたも私のように、滑車の問題を苦手としているのではないでしょうか?
ということで、今回は、滑車の計算問題が全くわからない人に向けて、小学生の方でも一から理解できるように、解説していこうと思います。コツをつかめば意外と簡単なんですよ!?
【目次】
滑車の種類
滑車の計算問題を解くために覚えたい原理
定滑車と動滑車の計算問題
組み合わせ滑車の計算問題①
組み合わせ滑車の計算問題②
【滑車の種類】
それでは、まず滑車の種類から見ていきましょう!計算問題でよく出てくる滑車は上の図1~図3のように、3種類あります。図1のように、天井などに固定して、重りやヒモで引いても、動かない滑車を「定滑車」と言います。
また、図2のように、糸が天井につるされていて、定滑車と違って、重りやヒモと一緒に動く滑車を「動滑車」と言います。名前のとおり、動く滑車のことですね。
そして、図3のような定滑車と動滑車が組み合わさった滑車を「組み合わせ滑車」と言います。応用問題になると、この組み合わせ滑車がよく出題されます。
【滑車の計算問題を解くために覚えたい原理】
それでは、滑車の計算問題の解き方を解説していきます。実は、滑車の問題はたった2つの原理を理解していれば、意外と簡単に解くことができるんです!その2つの原理は・・・
原理1 1本の糸にはたらく力の大きさは、どこでも同じ
原理2 下に引く力の合計は、上に引く力の合計と同じになる
というものです。文字だけでは、なんのことか伝わらないと思いますので、簡単な例でそれぞれの原理を説明していきます。まず原理1からです。
原理1 1本の糸にはたらく力の大きさは、どこでも同じ
例えば、図1のように、100gの重りをつるした場合、糸に100gの力がはたらくことになります。なので、100gの重りを定滑車で持ちあげるとき、糸を引く力は、100gになります。
また図2のように、糸の向きを変えても、糸を引く力は、100gになります。これが、原理1の「1本の糸にはたらく力の大きさは、どこでも同じ」という意味です。
要するに、1本の糸に100gの重りをつるすと、糸全体に100gの力が伝わるイメージをしていただけたらOKです。では、次に原理2の説明です。
原理2 下に引く力の合計は、上に引く力の合計と同じになる
覚えておきたい2つ目の原理は「下に引く力の合計は、上に引く力の合計と同じになる」ということです。 例えば、上の図1のように、重さ②の重りで動滑車を下に引っ張った場合、下に引く力(赤い矢印)の合計は②です。
すると、この原理2より、上に引く力の合計も②になることがわかります。そして、上にある左右の2本の糸には、それぞれ①の力(青い矢印)がかかることがわかります。
これは、左右の糸は、1本につながっていることから、原理1の「1本の糸にはたらく力の大きさは、どこでも同じ」により、左と右の糸を上方向に①の力で引っ張れば、①+①=②で下に引く力②と同じ値になるからです。
また、図2のように、上に引っ張る力が①②①(青い矢印)の場合、上に引く力の合計は、①+②+①=④なので、この原理2より、下に引く力の合計は④ということがわかります。なので、④の重りをつければ、釣り合うことになります。
では、図3のように、実際に100gの重りをつるした場合、糸にかかる力は何gでしょうか?まず、下に引く力の合計は100g(赤い矢印)ですね。
このとき、上の2本の糸にかかる力が、それぞれ50gずつなら、上に引く力の合計が50g+50g=100gとなり、下に引く力の合計100gと同じになるので釣り合います。
なお、ここで、「左の糸が30g、右の糸が70gとかではダメなの?」と思った方は注意してください。確かに、これでも上に引く力が合計100gになりますが、これは間違いです。
なぜなら、図3の動滑車を支えている左右の糸は、1本につながっているので、原理1により、同じ力がはたらくことになります。30gと70gでは同じ力ではありませんよね。だから、左右とも50gと50gになるんです。
以上で2つの原理の説明を終わります。理解していただけましたか?2つの原理をイラストでまとめると下図のような感じです。
それでは、原理1と原理2の理解をもっと深めるために、問題をもう少し紹介していきます。なお、今回は、問題を簡単にするため、滑車の重さや糸の重さを考えないことにします。
【定滑車と動滑車の計算問題】
問題① 図1、図2のように、滑車を使って200gの重りを持ち上げました。滑車や糸の重さを考えないものとして、次の問いに答えてみよう。
(1)図1で重りを白い矢印の方向に引っ張って持ち上げるとき、糸を引く力は何gですか。
(2)図2で重りを白い矢印の方向に引っ張って持ち上げるとき、糸を引く力は何gですか。
(3)図1の天井A点には、何gの力がはたらいていますか。
(4)図1の天井B点には、何gの力がはたらいていますか。
答えと解説
(1) 200g
200gの重りをつるしているので、原理1より「1本の糸にはたらく力の大きさは、どこでも同じ」なので、糸全体に200gの力がはたらくことになります。よって、重りを持ちあげた時に糸を引く力は200gです。
(2) 100g
動滑車に200gの重りをつるしているので、下に引く力の合計は200gです。よって、原理2より「下に引く力の合計は、上に引く力の合計と同じになる」ので、上に引く力の合計も200gになります。
上に引く力は左右に2本の糸があるので、左右それぞれ100gの力なら100+100=200となるので、100gの力で引けばOKです。
つまり、動滑車を使えば、200gの重りを100gの力で引くことができるんですね。動滑車の良い点は、このように、重たいものを小さい力で持ちあげることができることなんです!
(3) 400g (4) 100g
(3)下に引く力は、上の左図のように重り200gと手で引いた力200gなので、合計400gとなります。原理2より、「下に引く力の合計は、上に引く力の合計と同じになる」ので、Aには400gの力(青い矢印)がはたらいていることになります。
(4)(2)の解説にも書いた通り、上の右図のように、左右の糸は100gの力がはたらいているので、右の糸とつながっているB点には100gの力がはたらくことになります。
問題② 図のように、滑車と重りを組み合わせて、つり合わせました。滑車や糸の重さは考えないものとして、次の問いに答えてみよう。
(1)図1で天井A点には、何gの力がはたらいていますか。
(2)図2で矢印の方向に引いて重りを持ち上げるとき、糸を引く力は何gですか。
(3)図2での天井B点には、何gの力がはたらいていますか。
答えと解説
(1) 400g
300gの重りは地面にふれているので、注意です。左側の糸には200gの重りをつけているので、原理1より、つながっている右側の糸にも同じ200gの力がはたらきます。
よって、下に引く力は200+200=400gとなり、原理2より、下に引く力が400gなので、上に引く力も400gとなり、天井Aには400gの力(青い矢印)がはたらいていることになります。
(2) 150g (3) 300g
(2)図2は、「組み合わせ滑車」の問題ですね。動滑車には300gの重りをつるしているので、原理2より、上に引く力の合計も300gになります。
そして、上に引っぱる左側の糸と真ん中の糸が1本につながっているので、原理1より、それぞれ150gの力なら、150g+150g=300gとなり、これが上に引く力の合計となります。
また、真ん中の糸と右側の糸も1本につながっているので、原理1より、真ん中の糸にはたらく力150gは、右側の糸にもはたらき、150gとなります。よって150gの力で引けば重りを持ちあげることができます。
(3)天井Bを下に引く力(オレンジの矢印)は、原理2より真ん中の糸と右側の糸の力の合計なので、150+150=300gとなります。
【組み合わせ滑車の計算問題①】
ここからは、組み合わせ滑車の応用問題です。応用問題なので、最初は「難しい!」と思うかもしれませんが、とにかく原理1と原理2をうまく使いこなせれば、解くことができますので、頑張って理解してください。
問題③ 図のように、滑車と重りを組み合わせて、つり合わせました。滑車や糸の重さは考えないものとして、次の問いに答えてみよう。
(1)図1で天井A点には、何gの力がはたらいていますか。
(2)図1で重りBは何gですか。
(3)図2で重りCは何gですか。
(4)図2で重りDは何gですか。
答えと解説
(1) 100g
一番右側の100gの重りから天井Aまでは、1本の糸でつながっていることに注目しましょう!このことから、原理1より、糸には100gの力がはたらきます(青い矢印)。よって天井Aには100gの力がはたらくことになります。
(2) 400g
図のように、重りBは4本の糸によって支えられていますね。なので、上に引く力の合計は、4本の糸にはたらく力となり、1本の糸には100gの力がはたらくので、合計400g(100g×4本)です。
原理2より、上に引く力の合計400gと下に引く力の合計は同じなので、重りBには400gの力(赤い矢印)がはたらいています。
(3) 100g
まず、400gの重りに注目すると、重りは4本の糸によって支えられていますね。これは図1と全く同じ状況で、下に引く力が400gなので、原理2から上に引く力の合計も400gとなります。
ここで、4本の糸にはたらく力がそれぞれ100gずつなら、100g+100g+100g+100g=400gとなり、下に引く力の合計400gと同じになりますね。
よって、4本の糸のうちの1本は100gの力がはたらいていることになります。次に、左端から右端まで、1本の糸でつながっていることに注目しましょう。
ここで、原理1により、「1本の糸にはたらく力の大きさは、どこでも同じ」なので、つながっている一番右端の糸にも100gの力がはたらいていることがわかり、重りCは100gとなります。
(4) 200g
重りDは図のように2本の糸で支えられています。この2本の糸は(3)でやったように、それぞれ100gの力がはたらいています。
よって、上に引く力の合計は100g+100g=200gです。ここで、原理2から上に引く力と下に引く力の合計は同じなので、下に引く重りDは200gとなります。
【組み合わせ滑車の計算問題②】
今までは、1本の糸でつながっている組み合わせ滑車でしたが、今回の問題は糸が2本使われている組み合わせ滑車です。糸が2本以上あるときは、間違えやすいので注意が必要です。
問題④ 図のように、滑車と重りを組み合わせて、つり合わせました。滑車や糸の重さは考えないものとして、次の問いに答えてみよう。
(1)図1で重りAは何gですか。
(2)図2で重りBは何gですか。
答えと解説
(1) 60g
「180gの重りを2本の糸でつり下げているから、180÷2=90で、原理1より、Aにも90gの力がはたらく」と考えると間違いです。
それでは、この問題の解き方ですが、まずAの重さがわからないので、下の図1のようにAの重りを①として、Aを支える糸(青色の糸)に①の力がはたらいたとします。
すると、原理2より、緑の糸には①+①より、②の力がはたらくことになります。これで、180gの重りを支える糸には、①と②の力がはたらくので、原理2より、下に引く力は①+②=③の力がはたらくことがわかります。
そして、③の力=180gなので、①あたりの力は180g÷3=60gになります。よって、重りAは①の力で引いているので、Aの重さは60gということになります。
(2) 800g
この問題も糸が2本あるので、糸にはたらく力を①や②で表していきましょう。まず、上の図2のように、200gの糸にはたらく力を①とします。つまり①=200gということですね。
原理1より、青色の糸には、①の力がはたらいていることになります。すると、原理2より、緑の糸には①+①より、②の力がはたらくことになります。
これで、Bの重りを支える糸には、①と②と①の力がはたらくので、原理2より、下に引く力は①+②+①=④の力がはたらくことがわかります。
しかし、この滑車の計算が「とにかく難しい!」んですよね・・・。滑車の問題は、定滑車と動滑車の違いや、力の原理などがわかっていないと全く解けません。
私が学生のころは、滑車の計算問題を見た途端に「もう無理!」と思って、ギブアップしていましたね。このサイトに来てくれているということは、あなたも私のように、滑車の問題を苦手としているのではないでしょうか?
ということで、今回は、滑車の計算問題が全くわからない人に向けて、小学生の方でも一から理解できるように、解説していこうと思います。コツをつかめば意外と簡単なんですよ!?
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【目次】
滑車の種類
滑車の計算問題を解くために覚えたい原理
定滑車と動滑車の計算問題
組み合わせ滑車の計算問題①
組み合わせ滑車の計算問題②
【滑車の種類】
それでは、まず滑車の種類から見ていきましょう!計算問題でよく出てくる滑車は上の図1~図3のように、3種類あります。図1のように、天井などに固定して、重りやヒモで引いても、動かない滑車を「定滑車」と言います。
また、図2のように、糸が天井につるされていて、定滑車と違って、重りやヒモと一緒に動く滑車を「動滑車」と言います。名前のとおり、動く滑車のことですね。
そして、図3のような定滑車と動滑車が組み合わさった滑車を「組み合わせ滑車」と言います。応用問題になると、この組み合わせ滑車がよく出題されます。
【滑車の計算問題を解くために覚えたい原理】
それでは、滑車の計算問題の解き方を解説していきます。実は、滑車の問題はたった2つの原理を理解していれば、意外と簡単に解くことができるんです!その2つの原理は・・・
原理1 1本の糸にはたらく力の大きさは、どこでも同じ
原理2 下に引く力の合計は、上に引く力の合計と同じになる
というものです。文字だけでは、なんのことか伝わらないと思いますので、簡単な例でそれぞれの原理を説明していきます。まず原理1からです。
原理1 1本の糸にはたらく力の大きさは、どこでも同じ
例えば、図1のように、100gの重りをつるした場合、糸に100gの力がはたらくことになります。なので、100gの重りを定滑車で持ちあげるとき、糸を引く力は、100gになります。
また図2のように、糸の向きを変えても、糸を引く力は、100gになります。これが、原理1の「1本の糸にはたらく力の大きさは、どこでも同じ」という意味です。
要するに、1本の糸に100gの重りをつるすと、糸全体に100gの力が伝わるイメージをしていただけたらOKです。では、次に原理2の説明です。
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原理2 下に引く力の合計は、上に引く力の合計と同じになる
覚えておきたい2つ目の原理は「下に引く力の合計は、上に引く力の合計と同じになる」ということです。 例えば、上の図1のように、重さ②の重りで動滑車を下に引っ張った場合、下に引く力(赤い矢印)の合計は②です。
すると、この原理2より、上に引く力の合計も②になることがわかります。そして、上にある左右の2本の糸には、それぞれ①の力(青い矢印)がかかることがわかります。
これは、左右の糸は、1本につながっていることから、原理1の「1本の糸にはたらく力の大きさは、どこでも同じ」により、左と右の糸を上方向に①の力で引っ張れば、①+①=②で下に引く力②と同じ値になるからです。
また、図2のように、上に引っ張る力が①②①(青い矢印)の場合、上に引く力の合計は、①+②+①=④なので、この原理2より、下に引く力の合計は④ということがわかります。なので、④の重りをつければ、釣り合うことになります。
では、図3のように、実際に100gの重りをつるした場合、糸にかかる力は何gでしょうか?まず、下に引く力の合計は100g(赤い矢印)ですね。
このとき、上の2本の糸にかかる力が、それぞれ50gずつなら、上に引く力の合計が50g+50g=100gとなり、下に引く力の合計100gと同じになるので釣り合います。
なお、ここで、「左の糸が30g、右の糸が70gとかではダメなの?」と思った方は注意してください。確かに、これでも上に引く力が合計100gになりますが、これは間違いです。
なぜなら、図3の動滑車を支えている左右の糸は、1本につながっているので、原理1により、同じ力がはたらくことになります。30gと70gでは同じ力ではありませんよね。だから、左右とも50gと50gになるんです。
以上で2つの原理の説明を終わります。理解していただけましたか?2つの原理をイラストでまとめると下図のような感じです。
それでは、原理1と原理2の理解をもっと深めるために、問題をもう少し紹介していきます。なお、今回は、問題を簡単にするため、滑車の重さや糸の重さを考えないことにします。
【定滑車と動滑車の計算問題】
問題① 図1、図2のように、滑車を使って200gの重りを持ち上げました。滑車や糸の重さを考えないものとして、次の問いに答えてみよう。
(1)図1で重りを白い矢印の方向に引っ張って持ち上げるとき、糸を引く力は何gですか。
(2)図2で重りを白い矢印の方向に引っ張って持ち上げるとき、糸を引く力は何gですか。
(3)図1の天井A点には、何gの力がはたらいていますか。
(4)図1の天井B点には、何gの力がはたらいていますか。
答えと解説
(1) 200g
200gの重りをつるしているので、原理1より「1本の糸にはたらく力の大きさは、どこでも同じ」なので、糸全体に200gの力がはたらくことになります。よって、重りを持ちあげた時に糸を引く力は200gです。
(2) 100g
動滑車に200gの重りをつるしているので、下に引く力の合計は200gです。よって、原理2より「下に引く力の合計は、上に引く力の合計と同じになる」ので、上に引く力の合計も200gになります。
上に引く力は左右に2本の糸があるので、左右それぞれ100gの力なら100+100=200となるので、100gの力で引けばOKです。
つまり、動滑車を使えば、200gの重りを100gの力で引くことができるんですね。動滑車の良い点は、このように、重たいものを小さい力で持ちあげることができることなんです!
(3) 400g (4) 100g
(3)下に引く力は、上の左図のように重り200gと手で引いた力200gなので、合計400gとなります。原理2より、「下に引く力の合計は、上に引く力の合計と同じになる」ので、Aには400gの力(青い矢印)がはたらいていることになります。
(4)(2)の解説にも書いた通り、上の右図のように、左右の糸は100gの力がはたらいているので、右の糸とつながっているB点には100gの力がはたらくことになります。
問題② 図のように、滑車と重りを組み合わせて、つり合わせました。滑車や糸の重さは考えないものとして、次の問いに答えてみよう。
(1)図1で天井A点には、何gの力がはたらいていますか。
(2)図2で矢印の方向に引いて重りを持ち上げるとき、糸を引く力は何gですか。
(3)図2での天井B点には、何gの力がはたらいていますか。
答えと解説
(1) 400g
300gの重りは地面にふれているので、注意です。左側の糸には200gの重りをつけているので、原理1より、つながっている右側の糸にも同じ200gの力がはたらきます。
よって、下に引く力は200+200=400gとなり、原理2より、下に引く力が400gなので、上に引く力も400gとなり、天井Aには400gの力(青い矢印)がはたらいていることになります。
(2) 150g (3) 300g
(2)図2は、「組み合わせ滑車」の問題ですね。動滑車には300gの重りをつるしているので、原理2より、上に引く力の合計も300gになります。
そして、上に引っぱる左側の糸と真ん中の糸が1本につながっているので、原理1より、それぞれ150gの力なら、150g+150g=300gとなり、これが上に引く力の合計となります。
また、真ん中の糸と右側の糸も1本につながっているので、原理1より、真ん中の糸にはたらく力150gは、右側の糸にもはたらき、150gとなります。よって150gの力で引けば重りを持ちあげることができます。
(3)天井Bを下に引く力(オレンジの矢印)は、原理2より真ん中の糸と右側の糸の力の合計なので、150+150=300gとなります。
【組み合わせ滑車の計算問題①】
ここからは、組み合わせ滑車の応用問題です。応用問題なので、最初は「難しい!」と思うかもしれませんが、とにかく原理1と原理2をうまく使いこなせれば、解くことができますので、頑張って理解してください。
問題③ 図のように、滑車と重りを組み合わせて、つり合わせました。滑車や糸の重さは考えないものとして、次の問いに答えてみよう。
(1)図1で天井A点には、何gの力がはたらいていますか。
(2)図1で重りBは何gですか。
(3)図2で重りCは何gですか。
(4)図2で重りDは何gですか。
答えと解説
(1) 100g
一番右側の100gの重りから天井Aまでは、1本の糸でつながっていることに注目しましょう!このことから、原理1より、糸には100gの力がはたらきます(青い矢印)。よって天井Aには100gの力がはたらくことになります。
(2) 400g
図のように、重りBは4本の糸によって支えられていますね。なので、上に引く力の合計は、4本の糸にはたらく力となり、1本の糸には100gの力がはたらくので、合計400g(100g×4本)です。
原理2より、上に引く力の合計400gと下に引く力の合計は同じなので、重りBには400gの力(赤い矢印)がはたらいています。
(3) 100g
まず、400gの重りに注目すると、重りは4本の糸によって支えられていますね。これは図1と全く同じ状況で、下に引く力が400gなので、原理2から上に引く力の合計も400gとなります。
ここで、4本の糸にはたらく力がそれぞれ100gずつなら、100g+100g+100g+100g=400gとなり、下に引く力の合計400gと同じになりますね。
よって、4本の糸のうちの1本は100gの力がはたらいていることになります。次に、左端から右端まで、1本の糸でつながっていることに注目しましょう。
ここで、原理1により、「1本の糸にはたらく力の大きさは、どこでも同じ」なので、つながっている一番右端の糸にも100gの力がはたらいていることがわかり、重りCは100gとなります。
(4) 200g
重りDは図のように2本の糸で支えられています。この2本の糸は(3)でやったように、それぞれ100gの力がはたらいています。
よって、上に引く力の合計は100g+100g=200gです。ここで、原理2から上に引く力と下に引く力の合計は同じなので、下に引く重りDは200gとなります。
【組み合わせ滑車の計算問題②】
今までは、1本の糸でつながっている組み合わせ滑車でしたが、今回の問題は糸が2本使われている組み合わせ滑車です。糸が2本以上あるときは、間違えやすいので注意が必要です。
問題④ 図のように、滑車と重りを組み合わせて、つり合わせました。滑車や糸の重さは考えないものとして、次の問いに答えてみよう。
(1)図1で重りAは何gですか。
(2)図2で重りBは何gですか。
答えと解説
(1) 60g
「180gの重りを2本の糸でつり下げているから、180÷2=90で、原理1より、Aにも90gの力がはたらく」と考えると間違いです。
なぜかというと、180gの重りを支えている2本の糸は、違う種類の糸(青色の糸と緑色の糸)だからです。
糸が2本以上ある問題は、滑車の計算問題を解くために覚えたい原理で紹介したように、糸にはたらく力を①や②で表すと考えやすくなります。
それでは、この問題の解き方ですが、まずAの重さがわからないので、下の図1のようにAの重りを①として、Aを支える糸(青色の糸)に①の力がはたらいたとします。
すると、原理2より、緑の糸には①+①より、②の力がはたらくことになります。これで、180gの重りを支える糸には、①と②の力がはたらくので、原理2より、下に引く力は①+②=③の力がはたらくことがわかります。
そして、③の力=180gなので、①あたりの力は180g÷3=60gになります。よって、重りAは①の力で引いているので、Aの重さは60gということになります。
(2) 800g
この問題も糸が2本あるので、糸にはたらく力を①や②で表していきましょう。まず、上の図2のように、200gの糸にはたらく力を①とします。つまり①=200gということですね。
原理1より、青色の糸には、①の力がはたらいていることになります。すると、原理2より、緑の糸には①+①より、②の力がはたらくことになります。
これで、Bの重りを支える糸には、①と②と①の力がはたらくので、原理2より、下に引く力は①+②+①=④の力がはたらくことがわかります。
ここで、①の力=200gだったので、④は①の4倍だから、④の力=200g×4=800gとなります。そして、④の力=Bの重りの重さなので、Bの重りは800gです。
ということで、今回は定滑車や動滑車の問題の解き方を紹介してきました。「滑車に対する苦手意識」が少しでも解消すれば幸いです。
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